◆ 下痢で考えられる病気

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原因がわからない慢性の下痢は病院に行ってもなかなか診断が難しいと言われています。もちろん慢性の下痢だけではなく、猫は病気の確定診断が難しいです。愛猫にとっての一番の獣医さんは毎日様子をみて、一緒に過ごしている飼い主さん。そして動物病院は信頼できるところを探すこと。獣医の診断は「絶対」ではありません。
猫の病気にはいろいろな原因があります。わからないことは自分で調べる、獣医さんに聞く、お友達に相談してみる。
診断結果に疑問や不安を感じたら他の病院にセカンドオピニオンをお願いする。セカンドオピニオンはとても重要です。

主治医から治療方法を聞いても情報も知識もない飼い主さんは、不安になることがあります。だから知識を持っている人=他の獣医さんに相談し、意見を聞く。主治医に失礼ではないか?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。
患者からみれば当然のことで、それは人間でも同じです。セカンドオピニオンに行ったことを告げて怒るような獣医師は、信頼できる獣医師とは言えません。自宅での様子、主治医の診断、セカンドオピニオンの獣医の診断、それらを総合的にみて、猫にとって一番良い方法を選択してあげて下さい。ここでは下痢で考えられる病気についてまとめています。
もちろん、下記以外に下痢の症状がある病気はたくさんあるので参考程度にお読み下さい。

そして、アビシニアンの子猫はお腹が弱い子が多いと思われている方も多いのですが、決してそんなことはありません。
血統や個々の体質もありますが、生後3か月頃まできちんと育てていればお腹が弱い子猫にはなりません。




 ◆ 大腸性か小腸性か。

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猫が下痢をした場合、まず便の状態をみて、小腸性による下痢か、大腸性の下痢によるものか確認します。腸は主に小腸で消化・吸収・分泌を行い、大腸は水分吸収を行います。猫の下痢の70%は小腸性だと言われています。そして残りの30%が大腸性です。

小腸性の下痢は、小腸で過剰に分泌された水分を大腸が吸収しきれず下痢になります。便の特徴は、おなかにガスがたまり押すとゴロゴロと音がすることです。また便が臭く腐敗しています。
大腸性の下痢は、水分の吸収能力の低下によって下痢になります。
便の特徴は粘液を含んでいるような便で、ときに血便もみられます。
下痢の便は大腸性・小腸性にかかわらず臭いです。また大腸性にも小腸性にもみえるというのも多いですが、大腸性の下痢は、本当に粘液の固まりみたいな便で、ヘドロのような感じです。
血便は便の中に血が混じることを言います。便の最後の方に血が少しついてるような便は、他の原因も考えられるので、血便とは言わないそうですが、境目がよくわからないことも多いです。



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 ◆ 下痢で考えられる病気

【寄生虫・原虫】
(回虫)
猫にもっとも多い消化管寄生虫。汚染された土や便に含まれる卵や幼虫を食べたりして感染します。仔猫の場合は母猫の子宮にいるときに感染します。嚥下された幼虫は腸に移動し、成虫になります。
雌の成虫は卵を産み、卵は便と一緒に排泄され、感染幼虫となります。嘔吐・下痢または便秘、体重減少の症状がみられます。

(鉤虫)
比較的多い消化管寄生虫。卵や幼虫を食べたり、皮膚や足の裏から侵入し感染します。仔猫の場合は母猫の子宮の中で幼虫が胎児に移行することで、感染します。成虫は小腸に寄生し、卵は糞便に排泄されます。鉤虫は血液を吸血してひどい貧血をおこします。
また、体重が減少したり、下痢・タール便・血便を頻繁におこし、突然衰弱して死にいたる場合があります。

(ジアルジア *ランブル鞭毛虫)
消化管の寄生虫で、顕微鏡で見ないと見えないほどとても小さい寄生虫です。汚染された便、食物、水で感染します。
主に小腸上部に寄生し、便に感染シスト排泄され、再びサイクルが始まります。(シスト=原虫が皮膜で覆われ、一時的な自発活動休止様状態のもの)一般的な症状は油っぽい下痢や血便。
食べ物を吸収するのを妨げ、腸粘膜を傷つけるため消化ができなくなります。血統猫をお迎え直後1~2か月でにジアルジアがみつかった場合は、ブリーダーさんの健康管理、衛生環境に問題があります。

(条虫)
消化管にみられる寄生虫。条虫は何種類かありますが、猫に多いのは瓜実条虫です。条虫は中間宿主を必要とし、そこで発育します。
一般に中間宿主はノミやネズミ、ウサギなどの小動物です。
症状はあまりありませんが、消化不良・食欲不振・体重減少がおこる場合があります。とくに症状がなくても、肛門のまわりにくっついていたり、便の中でうごめいている白い片節に気づくことがあります。

(鞭(べん)虫)
大腸と盲腸に寄生する小さな細い虫です。細いムチのような形をしているため鞭虫と呼ばれています。とても小さいので便の中に見つけることが困難です。症状は下痢や血便。感染してから便に出てくるまで3〜4ヶ月かかるため、糞便検査は繰り返ししないとわかりません。

(コクシジウム)
消化管の寄生虫で、顕微鏡で見ないと見えないほどとても小さい寄生虫です。汚染された便によって感染します。感染後、3〜6日の潜伏期間があります。その後、泥状や水便の下痢がおこり、食欲が低下します。
仔猫や体が弱っている猫は症状が重く、粘血便となり死にいたる場合があります。

(トキソプラズマ原虫)
トキソプラズマの含まれた肉を食べることによって感染します。( 生の豚肉に多いと言われています。 )ほとんどの猫に症状は出ませんが、仔猫や老猫、体の弱っている猫が感染すると、腸の中で増殖し血便などをひきおこします。また、仔猫のときに感染してもすぐに症状が現れず、数ヶ月〜数年たってから慢性化した症状が出る場合があります。
慢性症状のひとつは長く続く下痢です。

(トリコモナス原虫)
主に鳥に多い寄生虫ですが、猫も感染することがあります。喉や食道に寄生し、症状としては食欲不振・水をよく飲む・嘔吐・下痢がみられます。
トリコモナス原虫は体外に出ると死んでしまうため、糞便検査では見つかりにくく時間の経った便では発見できません。

【ウィルス】
(パルボウィルス *猫伝染性腸炎、猫汎白血球減少症)
致死率が高く伝染性も高いのが特徴で、いったん感染するといったん感染すると、細胞の分裂が盛んな腸、骨髄、リンパなどでどんどん増殖します。
吐き気が初期症状で1日に何度も吐き気がでます。
進行とともに吐く回数はさらに増加し、その後下痢が併発。発症後5日目あたりから血便になり多くは7日以内に死亡します。感染源はウィルスを持った猫の便や尿、唾液に含まれており、これに他の猫が接触することによって感染します。このウィルスは体の外に出ても数ヶ月以上にわたって生き続け、感染力が非常に強いため、感染経路は病気の猫と接触することだけではなく、どこで感染したかわからない場合もあります。
3種混合ワクチンで予防できます。

(ジステンパー)
発熱や鼻水、目やに、くしゃみ、食欲減少、下痢、嘔吐などの症状があります。ウィルスが脳に入ると、ジステンバー脳炎をおこすこともあり、痙攣発作といった神経症状をひきおこすことがあります。
神経症状があらわれた場合、死にいたる可能性があります。
また、死亡しなかった場合でも後遺症が残る場合があります。

(ネコ腸コロナウイルス/ FIP *猫伝染性腹膜炎 )
ネコ腸コロナウイルスは、ほとんどの家猫が持っていると言っても過言ではありません。キャッテリーや多頭飼いの家庭では、80-90%以上とも言われています。ネコ腸コロナウイルス株があり、その感染ウイルス株に応じて、様々な消化器系疾患が起こるのが特徴です。
FIPウイルスは、ネコ腸コロナウイルス株の突然変異と考えられています。ネコ腸コロナウィルスの中で、突然変異をおこすと考えられているコロナウィルスの種類はありますが、特定はできていません。
誤解されている方が多いですが、コロナウィルスをもっているから、またはFIP抗体価が高かったからといって、ウィルスが突然変異をおこさなければ、FIPウィルスになることはないと考えられています。
ネコ腸コロナウイルス=FIPではありません。
コロナウィルスの抗体検査はFIPとFIP以外のコロナウィルスの感染の区別が難しいこと、キャリア状態と活動性感染の区別ができないことから、確定診断にはなりません。ネコ腸コロナウイルスに感染している猫が、腸内で突然変異を起こし、FIPウイルスに変化する → それに対して猫の体内で強いアレルギー反応が起こって、発症すると現段階では考えられています。もっと詳しく知りたい方は下記のサイトをぜひご覧ください。

logy Life 【 愛猫のためのお元気手帳 】
お友達のウェブサイトです。とても詳しく掲載されています。
猫のウィルス病公式サイト赤坂動物病院
赤坂動物病院の石田卓夫獣医師は猫の病気に関して、またFIPに関して日本で一番詳しいと言われている獣医師です。(私の主治医も石田先生から見れば私は赤子のようなものだと仰っていました。)
デイビスに3年ほど研究員として渡米しています。
Koret Shelter Medicine Program(英語サイト)
アメリカ・カリフォルニア州立大学デイビス校獣医学部のサイトです。
獣医学最先端の大学と言われています。

【細菌】
(カンピロバクター)
カンピロバクター食中毒を起こす病原菌です。微好気性といって、酸素が少しある環境を好み、酸素が十分にある通常の大気や、逆に酸素が全くない環境では増殖できません。また、発育(増殖)できる温度域は、31℃から46℃です。鶏肉(卵も含む)から感染することが多いと言われています。人にも感染し、嘔吐や下痢、発熱などの食中毒症状や、血尿が見られることがあります。

(サルモネラ)
食中毒で有名な菌です。 もともと自然界に広く分布し、牛・豚・鶏、犬や猫などのペットも保有しています。一般に、1g中に10,000個以上の菌が増殖した食品を食べると感染し、急性胃腸炎をおこします。
血清型によって毒性もさまざまです。人にも感染し、嘔吐や下痢、発熱などの食中毒症状をひきおこします。

(サルモネラ)
腸の中に普通にいる菌ですが、中にはO-157のように毒性の強いサルモネラ菌もあります。人にも感染し、嘔吐・下痢・発熱などの中毒症状をひきおこします。

【可能性が考えられる病気】
(大腸炎)
大腸は消化された食べ物の中の水分や、ミネラルを吸収するところです。大腸の粘膜が炎症をおこすと下痢になります。大腸炎になると便に粘液が混じり、炎症が悪化して潰瘍になると便に血液も混じります。
大腸の出口(肛門)に近い部分が出血すると、便に鮮血が見られます。精神的なストレスが原因で大腸炎になる猫もいます。

(腸閉塞)
腸の内容物が滞って動かなくなった状態をいいます。腸内はガスがたまってお腹が膨らみます。腸内に異物が入り込んだときや、腫瘍、腸重積 ( 腸が内部にたたみこまれる病気 ) 、腸捻転をおこした時になる可能性があります。腸閉塞は内科療法だけで治ることもありますが、異物を飲み込んだときや腫瘍の場合は緊急手術が必要です。
症状は腹痛、痛みがひどいときは触られるのを嫌がり、お腹をかばう姿勢をとります。吐き気を生じることもあり、何度も嘔吐を繰り返したり、逆にあまり吐き気を見せない場合もあります。飼い主が気がつかず、放置して治療が遅れると、ショック状態になり死にいたる場合があります。

(胃潰瘍)
腐った食べ物や異物、有害な化学物質を食べると、胃の粘膜がそこなわれて炎症をおこします。これが胃炎で、急性のものと慢性のものがあります。胃炎が進行すると胃の粘膜に傷ができ、胃潰瘍になります。
症状は食欲が減少し、嘔吐を繰り返します。とくに潰瘍になると嘔吐物に血が混じります。症状がひどいときは便に血液が混じり、黒くどろっとしたタール便を出すこともあります。

(悪性リンパ種)
血液とリンパ系の腫瘍は猫の中でもっとも多く、猫白血病ウィルスが原因として考えられています。腫瘍の種類にはリンパ系腫瘍と骨髄性腫瘍があります。リンパ腫は造血系の腫瘍で、病巣のできた部分によって縦隔型、消化管型、多中心型、白血病型に分類されいます。消化管型のリンパ腫は胃腸や腸間膜リンパ節が癌におかされ、発症年齢は平均8歳前後です。症状は食欲不振、体重減少、下痢や嘔吐などの消化器症状をおこします。猫は寝ている時間が増え、何となくだるそうに見えます。

(膵炎)
すい臓が炎症をおこす病気です。事故などにあって腹部にひどい衝撃を受けた場合や、肝臓や小腸の病気、感染症が原因で慢性の膵炎になることもあります。症状は、元気がなくなり体重が減少します。
炎症がすい臓だけではなく、肝臓にも広がると黄疸があらわれます。糖尿病を併発することもあり、その場合大量の水を飲んで頻繁に排尿します。
急性の膵炎は、嘔吐や下痢になり脱水症状になります。事故などによって急性膵炎になった場合はこん睡状態になり、死にいたる場合も少なくありません。また、とくに症状が見られない場合もあり、病気と気がつかずに死にいたる場合もあります。

(猫のIBD *炎症性腸炎、炎症性腸疾患)
IBDとは、Inflammatory Bowel Disease の頭文字で、日本語では炎症性腸疾患と呼ばれています。その名の通り、腸に炎症が生じる病気(疾患群)で、慢性で原因不明の難治性胃腸炎のことです。
長期にわたり、嘔吐・下痢・食欲不振・血便などの症状が強く出たり、良くなったりを繰り返します。診断名としては「リンパ球性プラズマ細胞性腸炎」と「好酸球性腸炎」が代表的なものです。猫のIBDについては、下記のサイトがとても詳しいです。
この文章は、サイト様から引用させていただきました。リンクの下痢に悩んでいる時に、お世話になったサイト様です。
→ 猫のIBD

LGS *腸管浸漏症候群)
病気ではないですが、簡単に言うと腸管壁の細胞間に大きな穴ができた状態。できたしまった穴から細菌や食べた食べ物の栄養素(タンパク質など)などが体内に漏れてしまい、アレルギーの原因となったり、様々な疾患にLGSは関与していると言われています。
*猫のIBDとの関連性も疑われています。



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